調べ学習の道しるべ『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』
オススメ度★★★★☆
【テーマ】調べ学習、平和学習、戦争
この映画は実話を基に作られた映画のようです。
貧困層が暮らすパリ郊外のレオン・ブルム高校の新学期。様々な人種の生徒たちが集められた落ちこぼれクラスに、厳格な歴史教師アンヌ・ゲゲンが赴任してくる。
「教員歴20年。教えることが大好きで退屈な授業はしないつもり」と言う情熱的な彼女は、歴史の裏に隠された真実、立場による物事の見え方の違い、学ぶことの楽しさについて教えようとする。だが生徒達は相変わらず問題ばかり起こしていた。ある日、アンヌ先生は、生徒たちを全国歴史コンクールに参加するように促すが、「アウシュヴィッツ」という難しいテーマに彼らは反発する。ある日、アンヌ先生は、強制収容所の生存者レオン・ズィゲルという人物を授業に招待する。大量虐殺が行われた強制収容所から逃げ出すことができた数少ない生き証人の悲惨な状況を知った生徒たちは、この日を境に変わっていく―。
落ちこぼれクラスの生徒たちが、「アウシュヴィッツ」をテーマにコンクールに出場します。
最初は、勉強に対してのモチベーションがなく、消極的だった生徒が歴史を学ぶに連れて、勉強という感覚を忘れ、調べ学習に没頭していきます。
テーマは「アウシュヴィッツ」ということで重いですが、生と死について考えていくことや歴史を学んでいくことが自分たちと関わりありものだと実感していきます。
そして、担任の先生が知識が豊富であり、また生徒のやる気を引き出す力が高いです。
実際に記念館に連れて行ったり、収容所にいた人に話をしてもらったり、調べ学習に大切なことを伝えてくれます。
今、調べ学習のやり方に悩んでいる方がいらしたら、参考になるかもしれません。
また、この先生の生徒に対する毅然とした姿勢と情熱、そして生徒を信じる姿勢は、教員として大切なことを伝えてくれます。
上で落ちこぼれクラスと表記しましたが、実はエネルギッシュで人情の熱い生徒たちだったと思います。
これは、教員の持っていき方次第で、生徒は変わるということを改めて感じさせてくれます。もしかしたら、この生徒たちは人生が変わったかもしれません。
高校の落ちぼれクラスを舞台に、劣等生たちの学校・社会に対するやり場のない怒りや、生徒同士の民族的・宗教的な対立という問題も描いている。そんな集団をアンヌ先生は指揮し、全国歴史コンクールに入賞するという目的に向かうクラスへと変貌させる。もちろん最初はコンクールの課題となる「アウシュヴィッツ」という難しいテーマを前に生徒達から不満が噴出する。だが、強制収容所の生き残りレオン・ズィゲルの証言を聞いた日を境にクラスは変わる。この生き証人が生徒達に自らの恐怖と希望の体験を語り、生徒達は“本当”にそのホロコーストの記憶にノックアウトされるのだ。ワンテイクで撮られたこの強烈なシーンでは、クライマックスに相応しい圧倒的な感動が押し寄せる。歴史を知ることがいかに思春期の人生をひっくり返す作用があるか、学ぶことこそが未来を変えるエネルギーになりえるか、教育の大切さを教えてくれる真摯な映画だ。
勉強とは机についてすることだけではありません。
好奇心を引き出し、知りたいという気持ちを育むことで、人は勝手に勉強するのかもしれません。
我々教員の責務は非常に大きいものだと思います。
知識を得、その知識を若い世代にどういう風に伝えるか。
どのように心を揺さぶるか、ただ教科書を読んでいる授業では駄目だと思います。