【ネタバレあり】絶賛のラ・ラ・ランド(英:LA LA LAND)を観て、引っかかること。
ラ・ラ・ランド、個人的に引っかかる内容でした。
絶賛の理由はわかります。
とてもポップでテンポよくて華やかでおしゃれで美しく、人生の酸いも甘いも含まれていて、ケチのつけようのない作品だと思います。
良いところをあげれば切りがないです。絶賛されるのがすごくわかるんです。
でも…。
個人的に、とても引っかかる。
これって「面白かった!」とか「楽しかった!」で終わらせて良いのだろうかと。
あらすじ
夢を叶えたい人々が集まる街、ロサンゼルス。映画スタジオのカフェで働くミアは女優を目指していたが、何度オーディションを受けても落ちてばかり。ある日、ミアは場末の店で、あるピアニストの演奏に魅せられる。彼の名はセブ(セバスチャン)、いつか自分の店を持ち、大好きなジャズを思う存分演奏したいと願っていた。やがて二人は恋におち、互いの夢を応援し合う。しかし、セブが店の資金作りのために入ったバンドが成功したことから、二人の心はすれ違いはじめる……。
監督について
DAMIEN CHAZELLE
1985年、アメリカ、ロードアイランド州生まれ。2014年、『セッション』がサンダンス映画祭でグランプリと観客賞のW受賞を果たしてたちまち注目される。アカデミー賞®でも、作品賞や自身の脚色賞を含む5部門にノミネートされ、J・K・シモンズの助演男優賞を含む3部門で受賞する。その他にも膨大な数の賞を獲得し、世界各国でスーパーヒットを記録して一躍時の人となる。初めて監督を手掛けた作品は、ハーバード大学在学中に制作したミュージカル映画『Guy and Madeline on a Park Bench』(09)。メディアから高い評価を受け、LAウィークリーには「2010年のベストデビュー作」、タイムアウトニューヨークからは「いとも簡単に、ここ数十年の中で最高の作品としてのし上がった」と絶賛される。
セッションのときは、まだ20代でした。本作品は32歳。
この若さで人生の酸いも甘いも描けるなんて、どんな人生を送っているのでしょう。
とても賢い人なんだろうと思います。
私が引っかかること「夢を追わない者がこの映画を見て楽しかったで片付けてしまうこと」
眠れない夜を過ごすほど、夢を必死に追いかけても、届かないこともあるのに。
「夢を追いかけるって美しいね」みたいに終わらせていいのかと思ってしまいます。
夢を追いかけることってリスクを伴います。
必要なものを手放したり、安定を犠牲にしたりして、主人公たちがそうだったように自尊心を切り崩しながら、生きていく。
夢を追いかけることは、そのリスクをとってでも叶えたい気持ちだと思います。
この映画を見て、自分は夢を追いかけず、安全な場所にいて、映画を絶賛する。
これはあくまで、この映画の一面を切り取った主張だと思いますが、ラ・ラ・ランドを当事者として観るかどうかで、大きな感想の差が生じる気がします。
ラストのシーンで、結婚まで届かなかった主人公たちの関係が物語るのは、ただの切ない恋愛の演出ではなくて、夢の犠牲に消えた大切なものの象徴ではないでしょうか。
なんのために、生きるか。それを決めるのは自分自身です。
夢のために生きることは、ときに馬鹿にされたり軽蔑されたりすることもあるでしょう。
主人公の男性も、家族から売れない音楽を続けることを馬鹿にされていました。
私は、自分の情熱に人生という時間を費やしたいです。
The world is a fine place and worth the fighting for.
この世は素晴らしい。戦う価値がある。
- Ernest Hemingway (ヘミングウェイ)
ラ・ラ・ランドを観た後、私はヘミングウェイの言葉を思い出しました。